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エイズは完治させることは可能?

病原体

現在は数種類のエイズ治療薬(抗HIV役)が開発されていて、HIVに感染しても血中のウイルス数を検出限界以下に抑制ことが可能です。継続して治療を受け続けることで、HIV感染者がエイズの症状を発症しないようにすることはできます。それでも治療を中止すれば再びウイルスが増殖して発症するので、抗HIV薬を使用しても体からウイルスを感染に死滅させて完治させることは不可能です。

抗HIV薬を服用してもエイズを完治させることは不可能ですが、別の治療方法でエイズが完治した事例があります。エイズが完治した事例は2例で、英国のロンドンとドイツのベルリンに在住していた患者です。

ロンドンに住む男性は2003年にHIV陽性と診断され、2012年には悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫)に罹りました。悪性リンパ腫の治療法のひとつとして造血幹細胞移植がありますが、この男性は2016年にHIV耐性を持つ人から提供された幹細胞が移植されました。この男性は移植後に抗HIV治療薬を服用していませんが、血中からウイルスが検出されなくなって完治しました。

2例目はベルリンに在住する男性患者で、一般的な抗HIV薬を用いて治療を受けていました。ところが2006年に急性白血病を発症し、HIV耐性を持っていると考えられるドナーから造血幹細胞の提供を受けて移植しました。治療後にウイルスが検出されなくなり、完治したとみなされています。

少数の人は遺伝的にHIV1型と呼ばれるウイルスに対する耐性を持つことが知られており、HIVが侵入することができないような特別な構造のリンパ球(T細胞)を持っています。悪性リンパ腫や白血病の治療で幹細胞移植を受けるとT細胞が置き換わってしまうので、移植治療によってHIV耐性を獲得したと考えられます。

造血幹細胞移植はリスクが大きい上にドナーが必要なので、多くのエイズ患者がこの治療を受けることはできません。それでも幹細胞移植によってエイズを完治させることができたという事実は、根本的な治療法を見つけるためのヒントとなる可能性があります。

今はHIV陽性と診断された場合、エイズの症状を抑制するための薬を飲み続けるしか方法がありません。血中のウイルス数を検出限界以下に抑制して日和見感染症を予防することができたとしても、軽度の認知症を発症するケースは少なくありません。現状ではエイズを完治させることは非常に難しいため、最も効果的な予防方法はHIVの感染を防ぐことです。