錠剤と瓶

性病の中でも、特にエイズは死に至ることがある恐ろしい病気です。HIVに感染して治療せずに放置すると数年~20年後に免疫機能が低下して、無害な常在菌やウイルスの感染症や悪性腫瘍などを発症します。治療せずに放置すると、発症後に2~3年程度で確実に死に至ります。エイズで命を落とさないようにするためには、病原体の感染経路や予防方法についての正しい知識を身につける必要があります。予防方法だけではなく、病気の症状や怖さも知っておくことが大切です。

エイズに発症するとどうなる?

エイズが恐ろしいのは免疫機能が破壊されることで、病原体以外にも他の多くの細菌やウイルスが原因の日和見感染症を起こすことです。健康な人であれば問題にならないような常在菌やウイルスによって、全身に炎症や悪性腫瘍などが発症します。発症すると悪性腫瘍で顔や他の部分の形が崩れたり、長期間にわたり下痢や炎症に苦しみ続けながら死に至ることになります。

感染後に発症するまでの期間には個人差がありますが、エイズを発症して治療を受けなければ確実に命を落とします。国立感染症研究所のサイトによれば、サハラ砂漠以南のアフリカでは働き盛りの世代の人の中で1/4以上がHIVキャリアであることが公表されています。これらの地域では、病気が原因で平均寿命が20年も短くなっているとみられる国があるほどです。国によってはエイズが平均寿命に大きく影響を及ぼすケースもあり、人類の生存を脅かす存在と言っても過言ではありません。

症状の多くは他の細菌やウイルスが原因で引き起こされる日和見感染症ですが、HIVそのものにより起こる症状もあります。エイズを発症するとウイルスが脳に悪影響を及ぼすようになり、脳が委縮してエイズ脳症と呼ばれる認知症を発症します。認知症を発症すると、記憶力の低下・思考力の低下・言語能力の低下・感情的になりやすい・運動障害・攻撃的になるなどの症状が出ます。脳に悪性リンパ腫を発症して、認知機能の低下や精神症状を発症するケースもあります。脳に悪性リンパ腫が発症すると手術や放射線療法で病変部を除去してもすぐに再発しますし、化学療法も効果がありません。

治療薬が開発された現代は重い認知症や運動機能障害などの脳の障害を発症するケースは減っていますが、薬を服用しつづけて日和見感染症を発症していない患者でも認知症や精神症状が出る場合があります。治療薬を毎日服用することで血液中のウイルスを検出限界以下に抑えることができますが、脳脊髄液中にはウイルスが多く含まれます。発症を抑えるための治療を受けていてもウイルスの影響で脳が委縮し、軽度の記憶障害・運動障害・精神障害などを発症するケースは少なくありません。エイズの発症を抑えることができたとしても、脳の障害を完全に防ぐことができません。

HIVの感染経路は性行為

予防する最善の方法は、病原体(ウイルス)に感染するのを防ぐことです。ウイルスの伝染を防ぐために、感染経路を知ることがとても大切です。

HIVのウイルスは非常に弱く、人体から離れると短時間で不活性化して死んでしまいます。空気中や水中では生き続けることができないので、インフルエンザのように唾液などの飛沫を通して他の人にうつることはありません。ウイルスは水中でも短時間で死滅するので、お風呂やプールなどを通して他の人に伝染する心配もありません。HIVが人から人に伝染をするためには、多くの条件をクリアする必要があります。

HIVのウイルスが多く含まれていて他の人に伝染をするための活性を保つことができるのは、血液と一部の体液(精液・膣分泌液・母乳)に限られます。血液や体液が皮膚の傷などを通過して他の人の血中に入ると、感染が起こります。

主な感染経路のひとつは血液で、輸血・血液製剤や医療事故などのケースがあります。先進国では輸血や血液製剤が感染経路になるケースは減っていますが、中国本土やロシアなどの国では今でも注射針などの使い回しなどが原因で起こる医療事故が発生しています。

HIVの感染経路で一番多いのが性行為で、ウイルスが多く含まれた精液や膣分泌液が性器や他の部分の粘膜に触れることでうつるケースが多いです。性器性交の場合は、妊娠を防ぐ目的で男性がコンドームを着用する場合があります。これに対して妊娠の可能性がないアナルセックスやオーラルセックスでは、コンドームを着用しないケースが少なくありません。それでも肛門や口腔の粘膜を通してウイルスが血液中に入る場合があり、感染経路になる恐れがあります。

男性の同性間で性行為を行う場合は避妊の必要がないので、コンドームを着用しないケースが多いようです。アナルセックスの際に肛門から出血するとウイルスが容易に血液中に侵入するため、コンドームを着用しないことには大きなリスクがあります。

HIVの感染を防ぐためには、安全な性行為に心がけることが非常に重要です。性交渉の相手が多くなれば、相手がウイルスに感染しているリスクが高くなってしまいます。不特定多数の相手との性行為や、短期間でパートナーを変えることは控えることが賢明です。

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